「自己組織化エレクトレットとMEMSの集積化技術」立命館大学 理工学部 大学院理工学研究科 機械工学科 機械システム専攻 准教授 山根 大輔

channel新技術説明会
18 Apr 202424:31

Summary

TLDR立命館大学の山根さんが発表した、家電処理不要で真空定着形成可能な自己組織化エレクトレットを用いたマイクロエレクトロメカニカルシステムズ(MEMS)の製造技術に関する研究について概説します。この技術は、従来のエレクトロエレクトレットの製造手法とは異なり、家電処理を省略し、反動体プロセスを用いてMEMS内にエレクトレットを形成することができます。これにより、MEMSとエレクトレットをワンチップ化し、小型化や性能向上を実現することが期待されています。また、環境発電やセンサー、アクチュエーターの性能向上に寄与することが想定されています。研究チームは、産業用プロセスでのデバイスの製造や、様々なSE(静電性)材料の適用を検討し、実用化に向けて進めています。

Takeaways

  • 🌟 自己組織化エレクトレットとメムスを組み合わせた新しい技術が開発された。これは家電処理不要で真空定着形成が可能となっている。
  • 📡 メムスはマイクロエレクトロメカニカルシステムズの略称で、マイクロメートルサイズの3次元電子機械部品を指す。
  • 🔌 新技術により、エレクトレットをメムス内に形成することが可能になり、これによりデバイスの小型化と性能向上が期待される。
  • 🛠️ 従来のエレクトレット製造手法では家電処理が必要であったが、新技術ではその手間が省けることからモノリシック集積化が容易になる。
  • 🔬 SAE(自己組織化エレクトレット)は、従来のエレクトレットと比較して高い表面電位を持つことができ、その性能は従来のものと同等である。
  • 🏗️ 真空上着法を使用することで、エレクトレットをメムス内に形成し、製造プロセスの簡素化と量産化が期待される。
  • 🔩 メムス構造の内部にエレクトレット膜を形成し、その構造を通じてデバイスの機能を実現する。
  • 🔋 エナジーハーベスターや環境発電装置、センサー、アクチュエーターなど、多様な応用が想定されており、実用化が進んでいる。
  • 🧪 実験的な評価を通じて、SAEの表面電位や形状、性能が詳細に調査され、高い表面電位を実現することが実証された。
  • 📉 未解決の問題として、産業プロセスへの適用やSE(自己組織化エレクトレット)の表面電位の信頼性評価が残されている。
  • 🤝 共同研究開発を通じて、産業プロセスへの適用や技術指導が期待されており、メムス製造プロセスを持つ企業との協力が求められている。

Q & A

  • 自己組織化エレクトレットとは何ですか?

    -自己組織化エレクトレットは、家電処理が不要で真空定着形成が可能で、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の製造に用いられる新しいタイプのエレクトレットです。

  • MEMSとは何を意味しますか?

    -MEMSはマイクロエレクトロメカニカルシステムの略称で、マイクロメートルサイズの3次元構造を持つ電子機械部品のことを指します。

  • 新技術で開発されたプロセス技術の主要な特徴は何ですか?

    -新技術の主な特徴は、家電処理を省略してMEMS内にエレクトレットを形成できること、MEMSとエレクトレットをワンチップ化し、より小型化・高性能化されたデバイスの製造が可能になる点です。

  • 従来のエレクトレット製造手法の問題点は何ですか?

    -従来のエレクトレット製造手法では、家電処理が必要であり、そのために高電圧処理やX線処理が行われます。これはMEMSのチップ化やLSIの構造材料への制約をもたらし、量産化が困難でした。

  • 自己組織化エレクトレットの電気的特徴は何ですか?

    -自己組織化エレクトレットは従来のエレクトレットと同程度の電気的性能を持ち、さらに表面電位が発電に比例することが特徴で、高電位が必要なデバイスに有利です。

  • SAEとは何を意味していますか?

    -SAEはセルフアセンブルエレクトレットの略称で、自己組織化エレクトレットの一種であり、通常のエレクトロニクス分野で使用される材料よりも純度の低い材料でも高性能なエレクトレットを形成できるとされています。

  • マイクロパターンSEとは何ですか?

    -マイクロパターンSEとは、スルーホール構造を使ってMEMS内部に形成された自己組織化エレクトレットの膜を指し、パターン化することで特定の領域に限定的に形成されます。

  • 本技術の今後の課題とは何ですか?

    -今後の課題は、産業用プロセスでの製造やSEの表面電位の信頼性評価、さらには様々なSE材料についての実験データの取得、条件設定、そして実用化のための技術開発です。

  • 本技術を推進している研究プロジェクトとは何ですか?

    -本技術を推進している研究プロジェクトは、JSTのエステップで、群馬大学の田中先生と山根さんが共同研究を行っています。

  • 企業への期待は何ですか?

    -企業との共同研究開発を通じて、MEMS製造プロセスを持つ企業と協力し、本技術の導入を促進し、デバイスの実装方法や技術指導を提供するとともに、信頼性評価などの追加実験を行いたいとされています。

  • 本技術の適用で期待される効果は何ですか?

    -本技術の適用で期待される効果は、MEMSのセンサーやアクチュエーター、エナジーハーベスターなどへの適用が可能となり、小型化や高性能化、設計の精密化、規制阻止の削減などです。

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